「グランド」と付く名前のホテルが多い理由は?教えて!
日本には名称の中に「グランド」がついているホテルが数多くあります。何故でしょうか?グランドホテルの由来と、なぜ日本でグランドホテルが多いのかをご案内いたします。
グランドホテルの始まりと現在
ヨーロッパの国々では中世以降、王族・貴族など上流階級だけが集う社交界という独特の文化が発展してきました。社交界では定期的にパーティーが催されましたが、その開催場として豪華絢爛な建物がいくつも建てられてきました。基本的に社交パーティーは夜を徹して行われるため宿泊設備も整えられおり、やがてその建物は「グランドホテル」と呼ばれるようになりました。そのような背景から、各国のグランドホテルは最高級ホテルとして位置づけられ、国賓など各国の要人が利用する宿泊施設となっています。またアメリカは社交界を持っていませんが、ヨーロッパ文化の建築物だけをまねてグランドホテルを建設しました。ただ時代を経て誰もがホテルを利用するようになると、さまざまなスタイルのホテルが台頭し、現在は経営を維持できなくなったグランドホテルも少なくはありません。
日本国内におけるグランドホテルとは
日本では江戸時代、上流階級のひとつである武士の社交の場は江戸城に限られていました。またもうひとつの上流階級である公家は華やかな社交場を持つ権力も財力もありませんでした。さらに鎖国をしていたこともあり、社交場としての建築物を必要としていませんでした。日本国内でグランドホテルのような施設が建設され始めたのは明治時代以降の話になります。現在、日本に「グランド」という名称の入ったホテルは、ざっと数えたところでも150軒以上あります。ただし日本では海外と違いグランドホテルを名乗っていたとしても、一般的なクラスのホテルであることも多く、必ずしも最高級ホテルであるとは限りません。海外で言うところの「グランドホテル」として位置づけられるのは、国内では「グランド」との名称は入りませんが、帝国ホテル東京やリーガロイヤルホテル大阪など数軒になるでしょう。
なぜ日本にグランドホテルが多いのか?
海外のグランドホテルは上記でも触れましたが、施設の規模も大きく伝統的な建築様式を用いたクラシカルな高級ホテルを指します。一方、日本国内では規模や建築様式に関係なく、ごく一般的なクラスのホテルでも「グランドホテル」と名乗っているのが実状です。これは実に日本的なネーミングで、例えば英語でマンションといえば大豪邸を意味しますが、日本ではアパートを少し豪華にした程度でもマンションと呼びます。またその町で一番賑わいのある通りを「○○銀座」と呼ぶことがあります。つまり、「うちは町で一番のホテルですよ」「グレードの高いホテルですよ」という自己演出的な箔づけのために、ホテルの名称に「グランド」と入れているのです。