ビジネスホテルについて

今回は、私ING転職がかりの森俊之が「ビジネスホテル」についてお話をさせて頂きます。ビジネスホテルの歴史から私のビジネスホテルで働いていた時の体験談などの話となります。

ビジネスホテルの歴史

日本で最初に誕生したビジネスホテルは、1920年に創業しました京都にある「法華倶楽部」というホテルです。法華倶楽部はその後に東京・大阪に進出し、2021年現在では日本全国で12店舗のホテルチェーンとなっています。

大型のビジネスホテルとしては1937年12月に「新橋第一ホテル」が開業しました。現在は「第一ホテル東京」と言うホテル名になりシティホテル(総合型)として運営しております。

低価格で出張に利用しやすく、ビジネス用途の機器が備わっているなどイメージが強まり、やがてそのようなホテルを「ビジネスホテル」と呼ぶようになったものです。
ちなみにビジネスホテルは和製英語です。英語で近い表現では”Bed and Breakfast”や”Budget Hotel”でしょうか。

ビジネスホテルのブームは高度経済成長で出張が盛んになった1960年代後半と言われております。

1970年代後半には「東急イン」、「ワシントンホテル」、「ホテルサンルート」などが、宴会場・会議室やレストランなどを最小限に抑えた「宿泊偏重型」ビジネスホテルを手掛け、全国的チェーン展開が活発になりました。

1980年代後半のバブル期には、高級化路線に舵を切り、豪華なブライダル設備や大きな会議室、多数のレストランなどシティホテル並みの設備を拡充したビジネスホテルが現れました。
しかし、バブル崩壊後はシティホテルの値下がりがはじまり、ビジネスホテルは苦境に陥ります。一気に団体客が減り、新たな需要を掘り起こさなくてはいけなくなります。

出張するサラリーマンの出張費から逆算して宿泊費を決めているのでおおよそ6,000円~7,000円のさらに安く泊まれるホテルとして生まれたのが現在の「宿泊特化型」と言われるビジネスホテルです。
全国どこでも均一なサービスを提供する「APAホテル」「ホテルメッツ」などの後続ホテルチェーンも勢力を広げてきております。

1990年代後半には、低価格の宿泊特化型ホテルで朝食付きシングル5,000円~7,000円台とリーズナブルに抑え、利便性は保ち、インターネットなどの付加サービスで出張費をやりくりする企業にとって、ありがたい存在となります。
低価格の宿泊特化型ホテルには「東横イン」「スーパーホテル」「ルートインホテルズ」「ドーミーイン」などがあります。

ここ数年で話題になってきているホテルといえば、ビジネスホテルよりも価格が高くデザイン性の高い空間を提供している「ライフスタイルホテル」です。
ライフスタイルホテルの特徴は、デザイン性の高い空間と、宿泊以外の付加価値をテーマとしている事です。海外ではかなり前から広く認知されてきました。
日本ではライフスタイルホテルとしられたのが2014年銀座・新橋・虎ノ門エリアに誕生した「アンダーズ東京」ではないでしょうか。
ライフスタイルホテルについての詳細は、教えてホテル「ホテル事業における意味的価値とは “外資系企業と日本企業の違いにみる”」をご覧ください。

ビジネスホテルでの体験談

ここからは私が某ビジネスホテルチェーンで働いていた時の事を少し話させて頂きます。

私が働いておりました某ホテルチェーンは、今では全国に約100棟程展開しておりますが、私が前職のシティホテルから転職をした15年ほど前は、まだ5店舗しかない小さな事業部でした。
当時は仕事をする事が毎日楽しくて仕方ありませんでした。

新規でホテルを1店舗開業する度に、開業ホテルの支配人やマネージャー、そのホテルの従業員スタッフはお客様を迎える準備に忙しく、なかなか細部まで手が回らないことから、本社のスタッフとすでに開業している店舗から支配人が集まり、各店舗からのヘルプ要員の分担を決め、近隣企業への営業、客室の内装から客室内に置く案内書などの設置、ベッドメイクにいたるまで、全員で最終確認をしておりました。

ホテル事業部全員が一つのチームとなり、一緒に汗を流し、無事開業が迎えられれば皆で乾杯をする、これこそ楽しい仕事と言えるのではないでしょうか。

私はこちらの会社でホテル4店舗の支配人業務を行い、客室数90室の小さめのホテルから客室数300室の大きなホテルの責任者を務めました。
常に営業総利益(GOP比率)50%~55%の実現に向け売上を上げ人件費率を売上に対し15%~17%で抑える為、正社員雇用は私とマネージャーだけで、あとはアルバイトとパートで運営していました。(300室の大型ホテルだけは正社員5名おりました)

固定人件費をできるだけ低く抑え、変動人件費でシフトを組んで無駄を無くすとともに、苦情やトラブルがあれば責任者の私がいつでも現場に駆けつけられるよう、私とスタッフの関係構築に努めました。
また、稼働率を高くするには客室のクオリティを高める必要があります。

客室清掃は協力会社に委託しておりましたが、毎日客室清掃終了後には支配人である私かマネージャーが一部屋一部屋クオリティチェックを行っておりました。
ホテルの近隣企業へ出張で来られたお客者が快適に利用頂きリピーターになって頂くには絶対欠かせない業務なのです。

ビジネスホテルの特徴と戦略

ビジネスホテルの多くは「単価は安いが稼働率が高い」というのが特徴と言われております。ホテルの客室数は多くても200室程度です。

・客室はシングルルームがメインで客室面積は狭い(1室9~15平方メートル程度)
・テナントは レストラン 1店舗のみ
・宿泊料金は5,000円~8,000円程度
・アメニティは最低限
・限定されたサービス
・従業員はさまざまな仕事を少人数でこなす

ホテル売上高は、客室数と営業日数、客室稼働率(OCC)、客室単価(ADR)、1室当り宿泊人数(同伴係数)、その他の売上の比率を決めれば予測する事ができます。

※ADR(Average Daily Rate(アベレージデイリーレイト))、OCC(Occupancy Rate(オキュパンシー・レート))

ホテル経費の主なものは、人件費、業務委託費、水道光熱費、送客手数料、アメニティ費、租税公課、広告宣伝費、修繕費、などがあげられます。

すべての経費の中での人件費の割合は私の経験で15%前後でしたが、それぞれ会社の考え方がありますのでGOP比率を柔軟に40%~60%で考えました場合、人件費率は15%~20%になるのではないでしょうか。

※GOP(Gross Operating Profit(グロース・オペレーティング・プロフィット))

最後に

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う移動制限や経済への影響により、観光業・ホテル業界はまだまだ厳しい状況ではありますが、今後コロナ禍が終息し、インバウンドの観光客が戻り、国内の団体旅行も復調し、ビジネスが伴う出張利用者も戻ってくるでしょう。

今後もビジネスホテルは全国に増えます。
進化するビジネスホテルを今後も楽しみにしていてください。

 

この記事を書いたのは

森 俊之

シティホテル・リゾートホテル・宿泊特化型ホテルで宿泊部門や営業部門を経験。店舗支配人やマネージャーとして活躍後、ホテル業界の方々のお役に立ちたいとの思いで、現在の(株)INGへ転職。
現在は人材紹介部門担当責任者として多くのホテリエの転職活動からホテル業界の悩み相談まで受けております。


 

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