ホテル業界のユニフォームシステムとは何?教えて!
ホテル業界で勤務する人ならユニフォームシステムという言葉を聞いたことがあると思います。外資系ホテルの多くで導入されているホテル向けの管理会計システムですが、最近では日系ホテルでも導入が進んでおり、すでに業界のデファクトスタンダードになっています。そこで今回はユニフォームシステムについて説明していきたいと思います。
ホテルのユニフォームシステムってなに?
ユニフォームシステムとはアメリカ国内にあるホスピタリティ・ファイナンシャル&テクノロジー・プロフェッショナルズ(HFTP)や二ューヨーク市ホテル協会などの組織から作られた委員会で策定された会計報告様式で、1926年に初版が出版されました。正式には「Uniform System of Accounts for The Lodging Industry」直訳すると、「宿泊産業統一会計基準」となります。まずユニフォーム(統一する)ということが一番のポイントで、このシステムを導入しているホテルはすべて共通した会計制度や勘定科目で統一されます。もうひとつ大きな特徴は宿泊業の特性に則して宿泊部門や料飲部門などの部門別損益計算書や明細表を作成することにあります。
ユニフォームシステムのメリット
ユニフォームシステムは前述のように、部門別で損益計算書や明細表を作成しているので部門ごとの収益が把握しやすくなっていることは勿論のこと、例えば宿泊部門ではルーム稼働率や、宿泊レート区分(割引率など)、マーケット区分(団体・個人・ビジネス・ファミリーなどの利用層分け)などの付帯情報を加えることで、その後の営業やマーケティング活動に生かせるようになります。
またこの制度が普及しホテル間での会計制度が統一されることにより、各ホテルの財務内容の比較が容易になります。これはホテルのM&Aが行われることが多い欧米などにおいては重要なもので、ホテルオーナーが運営会社(ブランドホテル)を選ぶ際に有用な情報になります。
日本におけるユニフォームシステム
ユニフォームシステムは1926年の初版の出版から始まり、2014年6月には第11版が出版されました。この90年の間にホテル業界もサービス内容が多様化し、さらにデジタル化が進むなど、時代に合わせた内容変更が必要となったためです。日本では海外のホテルに比べてホテル全体の売上における料飲部門の売上の比率が高く内容も複雑なことや、部門ごとにおける権限(人事権や予算執行権など)が小さいことなどの事情から、このシステムに馴染まず導入がはかどらない時期もありました。ただ日本も国際化が進み海外からのホテルチェーンも多く進出をしてきている中、この大きな流れに抗えず、今後ますます導入が進んでいくことになるでしょう。
いかがでしたか?ホテル業界で勤務する人なら知っていて欲しいホテル業界の専門用語を今回はお届けしました。