ホテルに必要な旅館業法・食品衛生法とは?教えて!

ホテルなどの宿泊施設を営業するにあたりクリアするべき法律として、旅館業法食品衛生法があります。宿泊業に従事するにあたり、その概略は知る必要はあると思います。今回は押さえておくべき基本的なポイントをまとめました。

旅館業法の許可を必要とする業態とは

旅館業法の許認可を必要とする業態はホテル・旅館・簡易宿所・下宿の4つになります。簡易宿所とは「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のもの」を指し、トイレや風呂も共用になります。カプセルホテルやホステル・民宿などが該当します。下宿も旅館業の許可を取る必要があります。下宿とは「施設を設けて一ヶ月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、多くの場合は食事の提供があり、料金は部屋代に朝食・夕食の食事代が加算されます。

旅館業法上の許可とは

次に旅館業とは何か?ということですが、旅館業法で「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。これに該当する場合には旅館業法上の許可を得なければなりません。また宿泊料という名目ではなくても、何らかの料金を徴収する場合(休憩料・清掃費など)も旅館業の許可を得る必要があります。ただ極端を言えば仮に同じ施設であっても無料で人を宿泊させる場合は旅館業法の許可は必要ありません。
「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」というとアパートや賃貸マンションもこれに近い印象を受けますが、旅館業の規定として「衛生上の維持管理責任が営業者にある」というものがあり、アパートやマンションの場合は衛生上の管理責任は借主にあるので該当しません。またアパートやマンションは借主の生活の拠点になっているわけですが、旅館業の別の規定に「宿泊者が利用する部屋に生活の本拠を有さないこと」ともあるのでこちらも該当しません。

食品衛生法とは

食品衛生法で規制対象となる食品は、医薬品や医薬部外品を除いた「すべての飲食物」です。具体的には食品と添加物の他、食器・調理具・容器・包装に加え変わったところでは乳児が口に入れる恐れがあるため乳児用おもちゃについても規制の対象となっています。同じく口に入れるものであっても歯ブラシやタバコなどは食品ではないため、規制の対象外になっています。また、営業目的での食品の扱いや販売に対する必要な規制について定められています。家庭内での調理については営業目的ではないため規制されません。なお販売には「不特定または多数の者への販売以外の授与を含む」とされます。例えば街頭において無償で食品を配布したとしても規制の対象になります。

ホテルに関わる食品衛生法について

ホテルがレストランを営業する場合、またレストランがなくても朝食などを提供する場合は都道府県知事から営業許可を受けなければなりません。許可にあたっては、その基準に合うかどうか、保健所により立入調査が行われます。その際クリアするべき法律が食品衛生法になります。ホテルが食中毒を起こしてしまうなど、この法律に違反した場合は、営業の停止あるいは禁止の措置が講じられます。営業停止は期間を定めるものをいい(例えば営業停止3日間など)、期間を定めない場合は営業禁止となります。なおこの措置は食品による健康被害の拡大と再発の防止のためであり、ホテルに対する懲罰を目的とするものではありません。食中毒の場合、営業禁止あるいは停止の期間中に、保健所の指導のもと調理施設の消毒や従業員への衛生教育などが行われます。ただ懲罰目的ではないとしても、世間からは「食中毒を起こしたホテル」というレッテルを貼られてしまうことは否めない事実なので、ホテルは充分衛生管理に務める必要があるでしょう。また食品衛生法に定められた許可営業者(ホテルなど)は、営業許可施設ごとに食品衛生責任者を選任し保健所に届け出ることになっています。

いかがでしょうか?ホテルと密接に関わっているこの2つの法律を把握することで仕事の取組み方も変わってくると思います。是非参考にして下さい。

この記事を書いたのは

奥泉 剛

大手ホテルチェーンの都内シティホテルにて、法人宴会セールスに従事。その後、派遣業界に身を投じ事務系や料飲系派遣の営業として勤務。現在は(株)INGにて転職相談責任者としてコーディネート業務


 

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