【初級編】ホテルの組織ってどうなってるの?教えて!

ホテルという施設は様々な人的サービスを行うために従業員数が多く、それゆえひとつの会社のような大きな組織が形成されています。今回は一例として日系シティホテルの組織はどうなっているのか、そのしくみや特徴について解説したいと思います。

ホテルの組織の概略

ホテルは大きく分けて客室を管轄する宿泊部門、レストランや宴会・婚礼を管轄する料飲部門とその調理を担当する調理部門、ホテル全体の販売を促進する営業部門、市場のマーケティングやホテルの宣伝活動などを管轄する営業企画部門、ホテルの設備や従業員などを管理・運用する管理部門で構成されています。ホテルのサービスはそれぞれの部門が複雑に関わりあっているため、業務を進めていく上で効率がよいと考えられる形態で組織が組まれています。ホテルによって考え方もまちまちなので、ホテルごとにまったく同じ組織図はないと言ってもいいでしょう。
例えば、宿泊部にはフロント課やロビーサービス課、客室課のほかに宿泊予約課があるのが一般的です。ただ近年のホテル業界は客室販売をレベニューマネジメント(※1)を駆使してより戦略的に行うようになったため、宿泊予約課を営業部門に組み込んでいるホテルもあります。また宿泊部門と料飲部門の垣根を取り払うことで生まれる相乗効果を狙い、宿泊料飲部としているホテルもあります。近年の傾向として管理部門の人事関係については、採用や労務関係などを主に担当する人事課の他に、従業員研修や教育訓練などを専門に担当する人材開発課を独立して組織するホテルも増えています。
※1:レベニューマネジメントとは需要予測を基に客室の販売をコントロールして収益の最大化を目指す手法のこと

日系ホテルの組織

日系ホテルの多くは、ホテルの所有者がオペレーションも行う「所有直営方式」をとっています。総支配人や総料理長が取締役であることが多く、運営責任者が経営責任も負っているというのが特徴です。経営と運営が一体化していることにより、会社の持つ経営資源(ヒト・モノ・カネ)はバランスよく現場に行き渡ることになります。それゆえ部門ごとの目標値や予算配分についても突出したものは少なく、調和のとれた形に落ち着くことになります。また何事においても合議で決めることが多く意思決定が遅れがちな傾向です。例えば現場から何か良いアイディアが上がったとしても、そのアイディアが実現するのに時間がかかったり、様々な部門から意見を取り入れることによって、もともとのアイディアとはかけ離れた形で実現するようなこともあります。ホテルが保守的と言われる所以でもあります。

組織のかかわり方について

では、ホテルの組織が各々どのように関わり合っているのか、年末に開催されるディナーショーを例にとってご説明いたします。
ディナーショーの企画は、毎年春ごろ総支配人を始め各事業部や課の代表が会議を開きテーマや開催日を決めるところから始まります。その内容に沿って企画・広報課などが出演者を手配することになりますが、同時に宴会セールス課(宴会予約課)に要請し会場の確保をします。次に企画・広報課と宴会サービス課との間で、どのような会場設定・装飾にするかを打ち合わせます。併せて料金設定に基づき料理長と提供する料理内容を検討します。宿泊の利用も見込めるようであれば宿泊予約課に要請し客室を確保します。こうしてディナーショーの内容が固まると再度、ホテルの代表者会議を開き、そこで最終的な了承を得ることになります。夏過ぎから販促体制に入り、ホームページへの掲載や各メディアへの露出をはじめ、宴会セールス課や宿泊セールス課がクライアントへのセールス活動を行います。ディナーショー当日は、宴会サービス課や調理部が万全の体制で臨むことはもちろんですが、管理部や営業部もお客様の誘導などを行い、ホテル全体でお客様を迎え入れる体制を敷くことになります。

実際はもっと複雑なやり取りが発生しますが、ホテルがひとつのチームとしてスムーズに機能していくためには、組織の在り方が非常に重要なポイントになります。

この記事を書いたのは

奥泉 剛

大手ホテルチェーンの都内シティホテルにて、法人宴会セールスに従事。その後、派遣業界に身を投じ事務系や料飲系派遣の営業として勤務。現在は(株)INGにて転職相談責任者としてコーディネート業務


 

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