ホテル人材教育の必要性 〝なぜ教育や研修は必要なのか?″

ホテルに就職すると、ほとんどの企業で新入社員研修を受けることになります。
研修期間は企業によってさまざまですが、一般的に1ヶ月くらいではないでしょうか。
カリキュラムは、会社の沿革、社風、理念からはじまり、学生から社会人への意識改革やマナーに至るまで、数多くの事柄が学べるように組まれています。
このように多くのホテル企業が、新入社員研修を始めとする教育に時間を費やします。

他方、ホテル・飲食業界の離職率は高く、大卒の入社3年以内に離職する割合は50%以上と言われています。その3年以内に半分以上のスタッフが退職していく状況においても、新入社員研修および教育は続けられています。
この話を他業界の人へ話すと、皆さん異口同音に「非合理的だ!」と口を揃えます。

それでも何故ホテルは、人材教育に時間をかけるのでしょうか?
もちろん、学生気分を払拭させ社会人としての意識を持たせる事は大きな役割でしょうが…
実はホテルにはもう一つ教育に時間をかける大きな理由があります。
それは、ホテルは目に見えないサービスという生の商品をスタッフ自らが現場で生産し販売(提供)しているからです。

言うまでもありませんが、ホテルの商品は「素晴らしいハード」「おいしい食事」「心地よい雰囲気」それと「サービス」になります。これら商品の中で目に見えない商品は「心地よい雰囲気」と「サービス」になりますが、心地よい雰囲気は商品の複合的効果によりゲストが感じるものであり、単体の商品ではありません。また、ハードと食事は言ってみれば完成品を提供しますので、不備があれば修正が可能です。例えば料理はシェフが味見をするなど、チェックを受けてから完全なる商品として提供することもできます。もちろんすべてではありませんが…
それに引き換えサービスは、スタッフがゲストと接した瞬間に行う行為であり、スタッフ自らが生産(どの様なサービスをするかを考える)販売(サービスの提供)をし、ゲストの反応(満足度)を確認する。生産→販売と同時に消費される特殊な商品であり、サービスは完成品を提供するわけではなく、人が即席する商品なのです。

今からおよそ30数年くらい前の話ですが、赤字に陥っていたスカンジナビア航空のCEOに30代で就任したヤン・カールソンは僅か1年でこの会社を黒字に転換させたそうです。
彼は赤字の根本的な原因は現場にあると考え、ひいては、スタッフがゲストと接する15秒間で企業の価値が決まるのだと…
この15秒間を「真実の瞬間 Moment of Truth」と唱えた話は有名です。

このサービスというホテルにとって最も重要な商品を、上司のチェックや吟味をされる事なく、入社間もない新入社員が提供することが考えられるわけですから、研修や教育は非常に大切であるという事がお分かりいただけましたでしょうか。

サービスは、スタッフがゲストを満足させるために行う動作や会話が源泉になります。
ホテルの最大の商品であるサービスを作りだす人を育てることが、ホテル企業の重要な使命なのです。

この記事を書いたのは

橋本 伸

16年間のホテル勤務後、1997年国内初となるホテル専門人材会社、株式会社INGエンタープライズを設立し代表取締役に就任。
好きな食べ物は餃子。


 

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