ホテル・旅館の消防表示「適マーク」とは何?教えて!
ホテルや旅館は「お客様の生命と財産を守る」使命を負っています。その備えのひとつとして火災への対策が必要となります。2014年より宿泊施設が消防法令や建物の建築構造が基準に適合していると消防機関より認められた場合には「適マーク」が交付されるようになりました。今回はその適マークの交付制度について詳しく紹介します。
適マーク交付制度の変遷と概要
2003年以前は一定以上の規模のホテルや旅館には、必ず消防機関より立入検査が行われ、消防法令や建築法令の基準に達した場合に適マークを交付するという制度がとられていました。その後、2003年に消防法が改正され「防火対象物定期点検報告制度」という、ホテルなどに対して年1回、防火管理の状況や消防用設備の設置状況などを点検し、その結果を消防機関に報告することを義務づける制度に変わったために適マーク制度は廃止されました。しかしながら防火対象物定期点検報告制度は、国家資格である「防火対象物点検資格者」に点検させるという申告制であるため、実態として全ての宿泊施設に点検・報告を徹底させることが難しいようです。実際この点検・報告を怠った広島県福山市のホテルが2012年5月に死者を出す重大なホテル火災を起こしました。この火災がきっかけとなり消防法が再度見直され、2014年より適マークが復活することになりました。新たな適マーク制度はホテルや旅館から任意で消防機関に申請を行う制度で、対象は収容人数が30人以上で地階を除く3階以上の宿泊施設になります。申請にはいくつかの書類の添付が必要ですが、具体的な内容としては火災時の初期消火や避難誘導のための計画の作成及び防災訓練の実施状況、消火設備や警報装置などの維持管理状況、建築基準法12条に則った防火建築物である証明などが求められています。その申請に基づいて消防機関がその宿泊施設が基準に適合しているかを審査し、基準に適合していると認められた場合に表示基準適合通知書と適マークが交付されます。
適マークの有効期限と掲示方法について
表示基準に適合されていると認められた宿泊施設には、まず有効期間1年の銀色の適マークが交付されます。その後3年間表示基準に適合されていると認められた場合は有効期間3年の金色の適マークが交付されます。ただし交付後、表示基準に適合しなくなったと判断をされた場合や、宿泊施設の責任において火災が起こった場合については適マークを返還することになります。
交付された適マークはホテルのフロントや旅館の玄関など利用者の目につきやすい場所に掲示することができます。またホームページにも掲載できますので宿泊施設を選考中の方々に対して安全性をアピールできるようにもなっています。
適マークは任意の申請制度ですので、宿泊施設に適マークがないからといっても違法ではありません。ただ、さまざまな方を宿泊させる施設では、お客様に安全・安心を保証する必要があると思います。ホテルや旅館が取得するべき制度であることは間違いないでしょう。