リゾートホテルのサービスと旅館のサービスの違いは?教えて!
観光地にある宿泊施設にはリゾートホテルや旅館などがありますが、その違いはどのようなものかご存知ですか?建物のつくりや雰囲気などからなんとなくわかるという方も多いかもしれませんが、実は外観などだけではなく明確な違いが存在するのです。 ホテルと旅館に違いがあるということは必然的にそこで働く人々に要求されるスキルや働き方が違ってくることにもなります。 そこで今回はホテルと旅館の様々な違いについてご紹介したいと思います。
ホテルと旅館の定義とは?
日本の宿泊施設には大きく分けてホテルと旅館があります。同じ「旅館業法」の管轄下になりますが、ホテルと旅館とは明確に違う定義があります。 ホテルは主に洋室で、客室が10室以上あり、床面積が9平方メートル以上あることです。さらに部屋に洋式トイレやシャワーやバスルーム(浴室)の設置が義務付けられています。 旅館は主に和室で、客室が5室以上あり、7平方メートル以上あることです。また部屋に和式洋式どちらかのトイレの設置が必要です。近隣に温泉や銭湯がある場合には、部屋に浴場や浴室の設置は必須ではありません。
プライベート空間を提供するホテルとおもてなしの旅館
サービス手法にも違いがあります。プライベートな空間を提供するリゾートホテルと、布団の上げ下げやお部屋での料理の提供などの距離の近いサービスをする旅館では具体的にどのような違いがあるでしょうか。 リゾートホテルではチェックインの前からベッドの準備がされており、客室の外で食事をとることになるため、お客様に呼ばれない限り従業員が客室に入ることはありません。連泊の際にベッドメイクをするときには、お客様が不在の時間に行います。もし在室の場合でも必ず許可をとるため、お客様のプライベートが守られます。また食事についてはお客様のお好みにより和食も洋食も選べ、レストランで提供するのが一般的です。 旅館では、チェックイン後にお部屋までご案内し、お茶を入れたり、布団を敷いたり料理を運んだりするため、お客様が在室のときでも室内に入ります。最近では布団の上げ下げがセルフサービスの旅館もありますが、従業員が行うのが一般的です。また食事は部屋で提供する場合と食事処で提供する場合のどちらのケースもありますが、主に近隣の海の魚介や地元産の食材を使っての和食が一般的です。
従業員の業務範囲の違い
最後にホテルと旅館では働く従業員も求められる仕事内容も変わります。 最近、旅館ではマルチタスク(マルチジョブ)という形態が増えてきたようです。マルチタスクとは、受付(チェックイン・チェックアウト)から食事の用意、清掃、売店での販売などの業務を同じスタッフが行える体制になっているということになります。マルチタスクには様々な仕事を経験して多面的な視野を持つ従業員の育成につなげる狙いもあります。以前までは多くの旅館には仲居というポジションもありましたが、高齢化が進み、その後の人員確保も難しくなり、だんだんマルチタスクに移行しているようです。 リゾートホテルは基本的に分業になり、大きく宿泊部門、料飲部門に分かれています。ただリゾートホテルでも、いざという時に従業員がお互いの部門をカバーできるよう、一定期間でフロントからレストランサービスに異動というような制度を取っているホテルも多いようです。
非日常感を味わいに観光地へ旅行されているお客様が多い中、リゾートホテルも旅館もゆったりと過ごして頂けるような施設や料理を提供するということについて変わりはありませんが、お客様を自宅に招くような近い距離でのサービスを提供するのが旅館で、一定の距離を保ちプライバシーを尊重するサービスを提供するのがリゾートホテルと言えるかもしれません。