【初級編】ホテルのマーケティングとはどういうお仕事?教えて!
ホテルにとって重要なマーケティングのお仕事とはどのようなものでしょうか?今回は大手ホテルチェーンのマーケティング担当者から取材した話を中心にご案内したいと思います。
マーケティングの概念と役割
マーケティングという言葉には広範な意味が含まれていますが、ホテルの場合は市場調査・企画・広報・販売促進などを指すことが多いようです。どんなに立派なホテルであっても、ホテルから何も発信をしなければその魅力は伝わらないものです。ホテルのマーケティング部門は、ターゲットとなるお客様を設定し、その方々に響くイベントやプランを企画してホテルのご利用を促進する役割を担います。またホテルの魅力を伝えることでブランディングの構築をすることも重要な役割です。
マーケティングのお仕事例
今回は「海外の有名ファッションブランドとタイアップして、ファッションブランドのブランドイメージが演出されたロビーラウンジを期間限定でオープンする」という企画を想定してご説明いたします。まずファッションブランドの選択については、ホテルのグレードや客層とのバランスを取ることを意識します。この種のイベントでは利益を求めるというよりは話題を提供し、またファッションへの意識の高い方々(主に富裕層)に対してホテルの魅力も伝えることが目的になります。同時に高級ファッションブランドとのタイアップはホテルに箔(ブランディング)をつける効果もあります。
具体的な業務内容を簡単にご案内しますと、まず高級ファッションブランドの客層やそのブランドを利用する方々の嗜好性や興味は何かなどの市場調査をします。ブランドが決まったのちはブランドの広報担当者とどのようなテーマ及び演出をするかなどを話し合います。それをホテルに持ち帰り調理長やサービスマネージャーなどに伝えて協力を仰ぎ、料理内容やサービス方法などを決めていきます。ご利用頂いたお客様に何か簡単なプレゼントなどがあれば、外部にアイテムを発注することもあります。内容が決定したらホームページや各種メディア・ネットに広告を出し、テレビや雑誌などにパブリシティ(※)として取り上げてもらえるよう手配します。もちろん宿泊部門や営業部門も個人顧客を中心にアナウンスをします。イベント終了後は、イベントの反響や売り上げ実績などの結果を検証し、思ったような結果が得られなかった場合は原因を追究し、次回以降のイベント時には修正をしていきます。
実際はもっと複雑なやり取りや業務が発生しますが、マーケティングのお仕事はホテル全体に密接に関わる重要なお仕事であるということがご理解いただけたと思います。
マーケティングの究極の理想は、営業部門がなくてもホテルの売り上げを上げられる体制を作ることだそうです。マーケティング部門が宿泊・宴会・婚礼・レストランそれぞれに対して様々な宣伝や数々のイベント・演出を企画・実施することで、あとはお客様の方からホテルに問い合わせが入り、直接足を向けて頂くような仕組みを作るということです。
ホテルでは斬新で訴求力の高い企画は常に求めているものです。他部署の勤務であってもマーケティングに興味のある方は、希望すれば配属をされるという部署ではありませんが、普段からアイデアを発信してみてはいかがでしょうか。白羽の矢が立つことがあるかもしれません。
※パブリシティとは、広告料金を払わずに結果として広告の効果が得られるような記事・番組のこと。またそのような記事・番組を作るよう働きかける活動。