番外編「転職斡旋のプロが教える“面接”」 面接の「繕い方について」編
前回、面接において「嘘をつく事と繕うことは違う」とお話をしました。
一般的に繕うという言葉を聞くとマイナスのイメージを浮かべると思いますが、この場合の繕うは、「乱れた身なりなどを整える、体裁を良くする」の意味に近いと考えて頂くと理解いただけるかもしれません。
具体的な繕い方とは
では具体的な例を挙げて「繕い方」を説明します。わかりやすいところでは、「姿勢の悪い人の姿勢を正す」は繕う作業の一例です。どんなに会話が上手く流暢に話せてもホテル業界の面接試験において、姿勢が悪い方は、面接官の印象を悪くします。このように面接で繕うという行為はマイナスに捉えることではなく、修正するべき作業なのです。では、「繕い方」をもう一歩踏み込んだ例で説明します。例えば、言い辛い退職理由を聞かれた場合の答えとして(イ)上司と馬が合わず、自分の考えを理解してもらえないため退職した。(ロ)予算は達成し上司からの要望には応えてきたが一向に評価してもらえないため退職した。共に内容は大差ありません。また、退職理由としてもベストアンサーではありませんが、どちらが印象が良いかといえば後者だと私は思います。
前者が「馬が合わない」「理解してもらえない」という抽象的なマイナス表現に対し、後者は、「予算は達成した」「要望には応えてきた」と自分の役割は果たしてきたとアピールをしています。但し、ここでのアピールは諸刃の剣でもあります。面接官は、この人は自分には非が無くすべて上司のせいにしているという印象を持ちます。そこで、“私の伝え方、やり方が未熟だったのかもしれません云々”など、自分にも非があったことも伝えた方が良いでしょう。しかしこの時点で、面接官は、退職理由の良否の判断がつきにくくなります。
面接官から質問を引き出させるための伏線
先ほど諸刃の剣と表現しましたが、大抵の面接官は、あなたがアピールした「予算は達成した」と「要望には応えてきた」へ質問をシフトさせ、貴方の返答の良否を判断しようと考えます。「予算はいくら?貴方は、どんな方法で?いくら売上ましたか?」また、「上司の要望に応えたとの事ですが、具体例を3つあげてください」というような質問を畳み掛けてくるでしょう。これに答えられなければ、否であり答えられれば良と判断されます。この答の繕い方は、敢えて「予算は達成した」「要望には応えてきた」という返答をし、後の「予算はいくら?… …」などの質問を面接官から引き出させるための伏線です。予めその答えを用意し、完璧な答えが出来るように準備しておきます。その質問に答えられれば良となります。
もう一度繰り返しますが、退職理由の「予算は達成し上司からの要望には応えてきた…」は、次の質問となる「予算はいくら?…」を引き出すための伏線を張る事により用意しておいたベストアンサーをするための高度な繕いになるのです。