【初級編】ホテルの気になる離職率ってどれくらい?教えて!
人と接する仕事に憧れている人にとって、ホテルのフロントは有力な候補のひとつになるでしょう。ただ、気になるのは、ホテル業界は離職率が高いと言われている点です。そこで、その実態がどのようなものかをご紹介します。
ホテルの気になる離職率ってどれくらい?
ホテル業界の離職率が高いのは事実です。平成28年新規学卒者の3年後の離職率は、宿泊業・飲食サービス業が最も高い数字を記録しています。 大卒で50.4%、短大・専門学校で58.2%、高卒で62.9%といずれもトップです。もちろん、飲食サービス業が数字を引き上げている可能性もありますが、現場の声を聞いてもホテルが、人の入れ替わりが激しい職場であるのは事実のようです。
ホテルの離職率が高い理由って?
ちなみに、宿泊業・飲食サービス業の他に、生活関連サービス業・娯楽業および教育・学習支援業も離職が目立ち、この3つが全体の離職率を引き上げています。これらの職業に共通する点は、拘束時間が長いことです。サービス業については、いつの時代も人手不足が続いており、人手が足りなければ、みなで残業をしてカバーするしかありません。教育関連も授業だけではなく、授業後に生徒からの相談を受けることも多く、また授業の準備にも追われるため、残業が常態化しています。また更にサービス業や教育関連業は休日が少ない傾向でもあります。通常の会社は土日祝や年末年始を入れると年間120日以上の休日がありますが、ホテルは95~110日が主流です。休みが少ないとストレスや疲労が抜けきらないものです。特にホテルは、部署によってはスタッフが24時間常駐しなければならないので、シフトはローテーションを組んで回していきます。そうなると、当然生活は不規則になり、よけいにストレスがたまっていきます。 また、特にシティホテルでは部署単位での結びつきが強い傾向にあり 人間関係が極めて狭く、チームで仕事をしているだけに上司とそりが合わないだけで職場環境はたやすく悪化します。その辺りも離職率が高い一因でしょう。 さらに日系のシティホテルは、保守的で年功序列的な風土が残っているため、なかなか主要ポストが空かない傾向にあります。また会社によって給与の格差があり、転職をすることで給与を上げよう、役職を上げようという傾向が一部あることも事実です。外資系ホテルの経験が長い方は、在職中のホテルのスキルを武器に、空きポストができた他のホテルへと渡り歩いていくことは割りと一般的なことです。 またリゾートホテルの場合、観光地の立地にあるため、娯楽や生活物資が乏しく、人間関係も限定的なため、窮屈さを感じて転職をする傾向にあるようです。
離職率を下げる取組みを始めたホテルもあります。
最近は、働き方改革関連法が順次施行されている状況の中、ホテル業界も高い離職率に危機感を感じ、ES(従業員満足度)を上げる取り組みをしているホテルも増えてきています。 例えば、業務量の多寡だけでシフトを組むのをやめ、ひとりひとりがしっかり休みをとれるように業務の効率化を図るという取り組みです。また、あるホテルでは、研修や教育を充実させ、その理解度が昇給につながるようにすることで、モチベーションの引き上げと離職率の引き下げに成功しています。 したがって、ホテル業界を目指すのであれば、先入観にとらわれることなく、それぞれのホテルの現在の実態をしっかりと見極めることが大切です。