外資系シティホテルの変わった人材育成教育システムとは?

今回はある外資系シティホテルに勤務されていた方に聞いた、外資系シティホテルならではの人材育成教育システムについてご案内いたします。

私が10年前まで勤めていた外資系シティホテルでは面白い研修システムがありました。「マネージメント・トレーニング」と言いまして、入社5年目以降のスタッフが対象になります。対象者はまず参加資格テスト受けることになり、それに合格してはじめてトレーニングを受けることができます。テスト内容は英語の面接と筆記試験でした。

そのトレーニング内容は1年かけて在席しているホテルのすべてのセクションを経験するというものでした。すべてのレストラン・バー、宴会(営業・予約・サービス)、クリーナー、スチュワード、フロント(予約・インフォメーション・レセプション・会計)、ツアーコーディネーター、ベルデスク、ドアマン、ハウスキーパー(客室係・ランドリー・リネン)、仕入れ、フードストア、PR、人事、一般会計、カーペンター、ペインター、プリントショップなど、各デパートメント単位を2週間から1ヶ月程度の期間で、どんどん移り変わっていくのです。各セクションが終わるごとに、本社人事にメールでレポートを送り、各デパートメントが終わるごとに部長との面談を行います。面談の際、大抵「経験してみて、何か改善案はあるか?」と問われます。それが良い案だと即採用されることもあり「さすが外資系だな」と感じました。1年が経ち、すべての研修が終わったのち、各デパートメントの部長から引き合いがあれば、課長としてそのセクションに配属されます。残念ながら引き合いがなければ、元のセクションに戻ることになります。引き合いがないとなると寂しい気持ちもしますが、ホテル内の各所に人脈が作れるので、その後の仕事に大いに役立つことは確実です。

他の研修としては、英語の先生がトレーニングルームに毎日9001700まで常駐しており、いつでも英会話のトレーニングを受けられる体制になっていました。主に午前は宿泊スタッフが中心に、午後は料飲スタッフが中心となって受講していました。

また私の属していた料飲部では、年数回のワインプロモーションの際にコンペティションを行い、料飲部会議で年間12名ほどの最優秀者を選出しました。選ばれた最優秀者は3週間、フランスのワイナリーに研修に行くことができます。そのワイナリーではブドウの収穫も行うなど、料飲部のサービススタッフなら誰もが憧れる研修でした。私も当然のことながら、コンペティションでは気合が入りました。ただ何度かチャレンジし、いいところまではいきましたが、残念ながら最優秀者に選ばれることはありませんでした。

私の在席していた外資系ホテルは手当についてはあまり充実していませんでしたが、人材育成の点では秀でた部分があったように感じました。他にもコーチングやティーチングの外部研修や、基本的なところではエアライン会社による「歩き方」など立ち居振る舞いの研修もありました。人事部の前の白板には、隙間なくぎっしりと研修スケジュールが張り出されていたことが思い出されます。

この記事を書いたのは

奥泉 剛

大手ホテルチェーンの都内シティホテルにて、法人宴会セールスに従事。その後、派遣業界に身を投じ事務系や料飲系派遣の営業として勤務。現在は(株)INGにて転職相談責任者としてコーディネート業務


 

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