「気づくサービス」はどうしたらできる?教えて!

サービス業の最高峰といえば、最初に思い浮かぶのがホテリエ(ホテルスタッフ)と答える方が多いと思います。ホテルに訪れた際、ホテルのハード面の豪華さやお洒落さを感じることもありますが、そこで働く従業員の「さり気ない対応に気配りや心配りを感じたとき」や「こんなところまで考えてくれていた!」「私たちのためにここまでやってくれたのか!」のような、一流のサービスに触れた瞬間ではないでしょうか。つまり、「予想を超えた素晴らしい体験」です。そんな体験を提供するには、まずは相手の気持ちに気づく力が必要です。この「気づくサービス」をできるようになるには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。秘訣をご案内しましょう。

ホテルならではの思考回路

ではレストランでのサービスを考えてみましょう。例えばファミリーレストランでは、呼び出しボタンで呼ばれてお客様から注文を取り、料理や飲み物を提供する。という業務が淀みなく行われていれば良いということになると思います。ただ、ホテルのレストランでは席にお通したあと、メニューに目を落としているお客様の顔が上がった瞬間を見逃さず注文を取りに行きます。もし注文内容を迷われているならば、肉料理ならボリュームや肉質や焼き加減などの好みを聞きチョイスするお手伝いをし、その料理に合う飲み物もお奨めすることもあるでしょう。また料理の提供が遅れているならば、「いつまで待たせるつもりだ!」とのお言葉を頂く前に「ただいま焼きたてのお肉料理をお持ちますので少々お待ちください」とアナウンスする気遣いも必要です。「自分がお客様の立場ならば今何を欲するか」を瞬時に思考を巡らし、過不足ないサービスを提供するタイミングと、料理をよりご堪能頂くために、提供している食材や味付けなどの知識を心得ている必要があります。またホテルにはリピーターのお客様が多いものです。よくご利用頂くお客様ならばお好みをしっかり把握し、「本日は○○様に、こちらのお魚メニューをお勧め致します」というご提案や、注文をうかがう前に「いつものボルドーの△△で宜しいでしょうか?」と確認をすることで、お客様の満足度も上がることになると思います。これは日頃から、常により良いサービスを提供しようと考え続けているからこそできることです。

サービスの押し売りはしない

スマートなサービスさえ提供すればお客様は喜ぶかと言えば、そう単純なものではありません。行き過ぎたサービスや提供する側の都合のサービスというものが存在します。例えばホテルに忘れ物をした際、ホテルスタッフが電車やタクシーを使って届けるというようなこともあるようですが、お客様からすれば却って恐縮してしまうかもしれませんし、「知られたくない場所まで追いかけてこられた」という印象を持つ可能性もあります。また「このタクシー代も宿泊料金に含まれているんだな」と訝ることもあると思います。またお通ししたお客様が誕生日だと知ったレストランスタッフが、バースデーケーキをサプライズで用意するということもあると思います。ただもしその方が喪中だったとしたら「そんな大げさなことはしないで欲しい」というかもしれません。確かに派手なサービスを好むお客様もいらっしゃるとは思いますが、本来ホテルや旅館のサービスは、さり気ない気遣いの中にあるのではないでしょうか。

サービスはカスタマイズ

サービスは、その人に合った、その人の求めていることを、その人が望むタイミングで行うことが望まれます。

いかがでしたでしょうか。このようにホテルで働く上で必要なスキルは、お客様の求めるもの、こと、タイミングを毎日考え抜いていくことで身につくのです。前述では難しいことを並べられたように感じたかもしれませんが、この考えは、例えば自分にとって大切な家族や恋人に向ける親切な気持ちと似ています。相手を良く知り、何を求めているかを想像して、相手のために何ができるか一生懸命考えること。たとえ行ったサービスに気づかれなくてもいい、ただ心地よく過ごしてもらいたいと思うこと。それを仕事にしたいと思える情熱があれば、きっと「気づくサービス」のスキルを身につけられるでしょう。

この記事を書いたのは

奥泉 剛

大手ホテルチェーンの都内シティホテルにて、法人宴会セールスに従事。その後、派遣業界に身を投じ事務系や料飲系派遣の営業として勤務。現在は(株)INGにて転職相談責任者としてコーディネート業務


 

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